1月9日に山梨県立美術館で行われた「認知症の方との対話型アート鑑賞会」
実は初めて、認知症の方と視覚障がいの方と一緒にアートを楽しむプログラムをご案内させていただいたのでそのことを少し長くなりますが書かせていただきたいと思います。
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そもそも対話型鑑賞は誰とでもできるのが特徴です。
アート作品を見ながら自分の思いを声に出していきます。

こどもとなら
何かを見ながらおしゃべりをする。想像力でいろんな発想や発見をしてくれます。
 
中高生となら
身近な思いや、最近の出来事などを話してくれることもあります。

大人 ビジネスマン 育児中のママ、パパ
見えるそのままを声に出す、 否定しない肯定される心地よさを感じていただくことができます。

認知症 高齢の方
作品から記憶を呼び起こす。思い出や記憶から懐かしい体験をしていただくことができます。

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そして、今回は私にとって初挑戦になった 視覚障がいの方との対話型アート鑑賞。
しかも視覚障がいの方だけでなく、認知症の方、施設の介護の方、視覚障がいの方、介助の方、そして、この鑑賞に興味がある一般の方。
そんな方が対等に同じ絵を見ながら見たまま、感じたままを1時間で3作品鑑賞していただきながら声に出していきます。

まずは私の紹介をさせていただいた後に、 
グループの中に目の見えない方が3名います。
その方も絵を楽しめるように絵についてたくさん声に出してください。とお伝えしました。
そして、いつものようにおしゃべりOK。間違いはないこと、見たまま感じたままを楽しくおしゃべりしていきましょう。というところからのスタートです。

 
まずは、大きな大きな 抽象画をご覧いただきました。
私はわざと足音を立てて歩いて見ました。
こんな大きさ・・・・とお伝えしようと思ったところ!
まず全盲の方が
 「わあ!大きな絵ですね」
と言ってくださいました。
私も感動!「伝わった!」という嬉しい第一発声となりました。
そして、認知症の方、介護士さんを含めて、
 「紫から青のグラデーション、かわいい色」
 「雨のような、雪のような」
 「布が絵にかぶさっているのはカーテンのよう」
 「寒いけれど、あたたかくも感じる」
 「水にボートが浮かんでいるよう」
 「藤の花にも見えるね」
などたくさんの声とおしゃべりが聞こえました。 
特に認知症の方は絵に何が見えるかを伝えてくださる方もいらっしゃいますが、
 「楽しいわ」
 「寒いね」
と言った認知症の方の特徴的な「感じる」発言が、視聴覚障がいの方の想像を膨らませることにつながるという発見を1枚目の作品で実感。
そして私と一緒にアートコンダクター として山梨、長野で活動をされている輿石美和子さんが用意してくださった作品に使われている「布」を実際に触っていただくと、
 「こんな柔らかい布が貼ってあるのね!」
とより作品に近づく体験をしていただけました。
しかしながら
 「どんな絵か想像できましたか?」
とわたしが伺うと
 「いや〜、さっぱりわからん。」!!
あはは・・・。だって、見えてる私たちでさえ「さっぱりわからない絵なんです!」
なんて笑いながら1枚目の絵の鑑賞を終わりにしました。  

そして視覚障がいの方からいただいたアンケートには、
1枚目のような作品を鑑賞できてよかった。
という感想が書かれていたのです。驚きでした。
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  そして2つ目の作品。
この作品は具体的に何が見えるか、そこから何を想像し、思い出すのかを楽しむ作品。

 「女の人」
 「年は43歳」
 「りんご」「ぶどう」「かご」「菊の花」
 「食べ終わったぶどうのカスが残っているお皿」
 「食器の重なる かちゃかちゃという音」
 「 ぶどうや果物の香り」
 「菊の花の香り」
手前に自分が座っていたとしたら女性になんて声をかける?
 「お茶の時間だよ〜!ぶどうを食べな。」

そんな楽しいおしゃべりが進む中、
視覚障がいの方が積極的にどんどん会話に入って来てくださいました。
 「女の人の服の色は?」
すると見える方が
 「青のような緑のような」
 「ぶどうの色は?」と質問すると
  「小ぶりで少し緑がかっています。」
別の方が
 「甲州じゃない?」
すると、見えない方は
 「おかしいな、菊の花と甲州、りんごと梨?それから半袖なんだかおかしいぞ。」 
もうはっきりと見えているんだな、と私が確信した瞬間でした。

もちろん見える人の中には認知症の方も含まれます。
見えない方から
 「この作品は何年ごろに書かれたもの?」
そんな質問から昭和初期の話へ。
 「へ〜、懐かしい時代。」
もう、私を抜かした見えない方と見える方のおしゃべりへつながっていました。 
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そして3枚目の作品へ。
この作品も思い出につながるといいなあ、と思いながらのおしゃべりタイム。
実はもうこの頃から私も見える方、見えない方、認知症の方、介護の方などの
ラベルは取り払われていたので うっかり見えない方へ
 「何が見えますか?」
と質問をしてしまったのです。
あ!と思ったのですが、それより早く
 「雪遊びかしら?」
と答えてくださって、またまた、私は感動!!
 「今、馬がいるって言ったけど、繋がれていないの?」
 「荷物のそりは?何とも繋がれていない?」
 「雪景色から 春の音色が聞こえるなあ。」
 「私の住んでいた近くに似たような景色の場所があるわ。」
すべて見えていない方の声。
認知症の方の
 「重い」
 「冷たい」
 「甘利山じゃないかな?」
 「雪玉作って遊んだよ。男の子も女の子もみんな一緒に。」
などという声から、最後に見えない方へ
題名をつけるなら? と質問をさせていただき
 「冬の里山」
と名付けていただいて1時間の対話型アート鑑賞終了でした。

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私自身 見えない方との絵画鑑賞は初めてでしたが、
見えないからと気負うことなく、
それは認知症も同じことなのですが、
見て、声に出して、聞いて、絵を一緒に楽しむ
だたそれだけ。

それだけなのに、なかなか美術館のハードルが高い。
耳が聞こえづらい方もいらっしゃるので私の声は少し大きめ。
笑ったり、おしゃべりしたり、ちょっといつもの美術館とは雰囲気が違う。
椅子に座って、じっくり鑑賞をする。場所を取る。  
なかなか美術館では難しいことが多いのです。
 
本物の作品を見る というのはとっても心地が良いことなんですよ。
絵のパワーをね、だれもが感じることができる。
すごいの。
多分、見えていても、見えなくても、病気でも、元気がなかったらなおさらかもしれない! 
元気になる。
みんなに、美術館を楽しんでもらえるような企画や取り組みが増えていきますように・・・。